つくば市政治倫理条例の動向について

総支部ニュース

2008/07/30

〔視察地〕

つくば市

〔期日〕

平成20年7月30日

〔視察者〕

市川潔史 小林信夫 荻田米蔵 原田 繁 山田玲子 中島正寿

〔目的〕

茨城県には「政治倫理条例」をもつ市が多い。つくば市もその1つとして注目している市である。当該条例の成立背景とその経過、議会における議論の模様は興味深いところである。また、当該条例が成立した結果、どのような効果がみられたか、また、条例成立後の市民の評価はどうか、という観点も重要であると考えた。

このたびの視察、意見交換を通じ、本市における「政治倫理条例」を考察する資料の1つとしたい。

〔つくば市概要〕

「つくば市」

昭和62年11月30日に3町1村を合併し、「つくば市」が誕生した後、昭和63年、平成14年と2度の合併を経て現在に至る。

面積

284.07 k㎡  南北に長い形状

人口

208,718人(平成20.7.1現在)

〔つくば市における政治倫理条例の成立事情とその後の動向〕

つくば市における政治倫理条例成立の背景として、平成6年、平成8年と2度にわたる汚職事件で市会議員が逮捕されるということがあった。これを契機として市民から政治浄化を望む声が起こり、「政治倫理条例」制定へ向けた動きが活発化している。  当該条例は平成12年に成立するに至ったが、その後厳しすぎるという議員の声で、規定が緩和されたという経緯もある。規定内容において着目される点は、条例の第2条3項で「配偶者、1親等の親族及び同居の親族」を「市長等関係者」として規定したうえで、第19条1項「市の工事等に関する遵守事項」において、市長等の執行部や上記市長等関係者が、市または市関係団体の締結する工事請負契約等の「相手方」とならないよう「努力する」という規定建てとしたことである。

つくば市では、当該条例の制定により、市民に対して一定の信頼を得たものと見ている。今のところ、これにより市民からかかる請求を提起されたことはない。

なお、つくば市は、政治倫理に関する条例として、平成13年から「つくば市長等政治倫理条例」・「つくば市議会議員政治倫理条例」の二本立てとしている(その詳細については添付資料を参照されたい)。

〔質疑応答〕

(質問)

多摩では、26市中2市が政治倫理条例をもつに止まる。茨城県では同条例をもつ市が多くみられるが、つくば市はどのような経緯で条例制定に至ったか。中村喜四郎元建設相逮捕の事件の影響はあったか。

(回答)

平成6年の贈収賄事件、平成8年の公職選挙法違反で、それぞれ市会議員が2名逮捕されたことが条例制定の契機になった。市民から、政治浄化、政治倫理の確立を求める声が起こった。また、条例を拘束力をもって、しかも議会の関与をもって制定するべき、との声があった。

(質問)

資産公開についてはどうか。

(回答)

市長についてはホームページで公開している。議員については2年前まで公開していた。

(質問)

親族企業が市の発注する工事に関われないというのは、見方によっては憲法、民法、商法の諸規定に抵触しているとはいえないか?

(回答)

「(関与しないよう)努めなさい」という規定であり、問題はないと考える。

(質問)

つくば市の政治倫理条例は、市会議員と市長、それぞれにあるが、市会議員の方に厳しく、市長の方はあいまいな規定になっているようにみえるが。

(回答)

市会議員の方は、議員提案にかかるものであり、(市会議員の政治倫理条例の方が)自律を厳しく図った内容になっているとおもわれる。

(質問)

(条例の)3条に関連して、市会議員への金品、仕事の紹介、影響力の行使など、問題になった例はあるか。

(回答)

議員自ら厳しく律していると思われる。例はない。

〔感 想〕

しかしながら、この点については、憲法、民法および商法などが保障する私的自治の原則、契約自由の原則等の考え方と抵触しないのか、一考する余地がある。